明日香村の棚田 棚田は補助金で維持されていた
棚田農家はどうして棚田を耕すのか
関西でも梅雨が始まった6月中旬に、明日香村の風景を撮りに行きました。
梅雨なので晴ではなく、もしかしたら雨かも知れないという微妙な予報で、山間地には行けませんでした(奈良南部は雨が降りやすい)
雨が降ったら逃げ込む場所があって大阪まで帰れる場所を考えて明日香村になりました。
明日香村には何度も来ていて棚田の撮影地点も頭に入っているので、手早く済ませて帰るつもりです。
明日香村の棚田はそれほど広大ではないものの、阪田、稲淵、栢森、上地区の斜面に存在します。
ところで各地の棚田を見るたびに気になっていたのが作業性の悪い点でした。
いま流行りの言葉では生産性ですが、平地の田んぼと比べるべくもないほど手間が掛かり、効率が悪いです。
一体農家の経営はどうなっているのだろうと思いましたが、「儲かりまっか?」と漫才のように聞く気にもなりませんでした。
そこを調べて見ると農水省には棚田の認定制度があり、認定されると一定額の補助金が交付されます。
赤いトラクターには男のロマンがあります
明日香村西の高取町
この地蔵前をよく通ります
これが平地の農村、当然田んぼも平らです
明日香村にも平地の水田があります
斜面が緩い場所は畑が多いです
阪田の棚田、段差があるので作業性がとても悪いです
これも阪田、軽トラやトラクターが通れる農道があります
舗装道路はキトラ古墳に続いている
棚田の役割は観光地だけでは無かった
傾斜度が20分の1(水平距離を20メートル進んで1メートル高くなる傾斜)以上の水田を「棚田」と認定しています。
例えば新潟県棚田地域保全対策事業という長い名前の補助金では、資材(機械や砂利)・燃料費・人件費の50%を国が補助しています。
農水省の「中山間ふるさと・水と土保全対策事業」という事業では、3分の1を助成しています。
国土交通省や環境省でもいわゆる限界集落や棚田などに、国土保全や環境保護を目的に2分の1や全額を助成している場合があります。
棚田の維持や割に合わない重労働の対価は、結局国が助成して棚田を維持していたわけです。
また棚田100選として観光地化している場合もあり、やはり自治体や国が補助金を出していると思います。
国が棚田を維持したい理由は美しいというだけではなく、例えば災害防止や水資源の保護が挙げられる。
棚田が水を蓄えることで下流の都市は洪水を免れたり、水不足が深刻化しないなどの利点がある。
山間地の集落が無人化すると災害を防止できなくなり、砂防ダムを無限に作る必要が生じる。
結局村の人たちに棚田とか森林を保全して貰った方が、大雨の度に洪水復旧をするより安上がりになります。
村を維持するには林業や農業を保護する必要があり、棚田にも補助金が出ているのでした。
明日香村の場合は古墳や遺跡や歴史遺産にも国の助成金が出ていて、奥明日香では”新しい遺跡”が整備されていたりする
上地区の棚田、もし棚田をなくすると砂防ダムで土砂崩れを防がなくてはならない
棚田が砂防ダム+溜め池になっています
斜面に村があり、人が住んでいるので棚田が維持されています
斜面の下側には明日香村の住宅地があり、土砂崩れがあると埋まってしまうでしょう
棚田がなくなると山の下側も人が住めなくなります
雨が降って田んぼに貯水されていきます
石舞台の休憩所で雨宿りするが
急いでいたので蓋の開いたカバンを逆さに持ってカメラを落とす痛恨のミス
機能に支障は無いのでペンチで曲げて
良しとしました
おわり