犬鳴山の林道集落 中畑地区
限界集落は自然との戦場
このブログでは2019年は限界集落や過疎集落、消滅集落を重点的に回っています。
普通の町や村よりそういう集落のほうが面白く、良い写真を撮れることもある。
普段人間が活動している範囲は人間の為に作った施設の中で、例えば道路というのも人工施設の上を歩いている。
通常の生活をしていれば一生涯人工施設の中から出ることはなく、海外旅行をしても飛行機という入れ物の中に入っているだけです。
だが限界集落や消滅集落はギリギリの状態で人間の生存条件を維持しようとしていて、人間と自然の戦場の最前線と言える。
限界集落を超えて森林や山に入るとそこは自然界になり、やるかやられるかという戦いの場ではなくなる。
限界集落は驚くほどの勢いで住民が減っているので、必ず人間が破れて自然の方が勝ちます。
人間たちは必ず負ける絶望的な戦いなのだが、少しでも今の生活を維持しようと悪あがきをします。
昔は数百人が暮らしていた集落が、最後の一人になっても、まだ畑を電気柵で覆ってイノシシから守ったりしています。
こうした絶望的な戦いが展開されているのが限界集落で、絶望集落ともいえる。
過疎集落は数年後に限界集落になり、10年後には最後の一人がいなくなって消滅集落になり自然に還ります。
このブログで通った集落のほとんどは、10年後に存在しないか消滅寸前になっているでしょう。
集落への入り口には古い工場がある
集落の入り口に近い家は現役農家が多い
中畑集落の中心部
使用中の小屋には多くの道具が置かれている
裏側じゃなくこれがメインストリート
下の土地は畑で耕してある
軽トラは倉庫代わりに置いてあるようです
車なんか来ないと写真を撮っていたら軽トラが来た
奥の方にも家があるようです
消滅間近でも人々は諦めない
前回は和歌山県犬鳴山に来たが、ここは関空がある泉佐野市の南側にあり、大阪府と和歌山県の間は和泉山脈で遮られています。
犬鳴山はその山系の複数の山を差し、古くから七宝瀧寺を中心に修験者の修業地でした。
現在は犬鳴山温泉やハイキングや登山、行楽、キャンプなどアウトドア客で賑わっています。
犬鳴山温泉などがある県道62号線から二瀬川沿いの林道を奥に入ると、中畑という集落を通って最後は登山道のようになります。
つまり街から離れた行き止まりの林道の途中にある農村なのだが、この条件の集落はまず消滅が約束された地です。
20軒ほどの民家のうち住んでいるのは多くて半分だと思いますが、それでも人々は家を改修したり住みやすくする工夫をしています。
この辺の農地は猿や鹿や猪にすべて食べられてしまうので、必ず周囲を柵で囲ってあります。
農地の面積からはそれほど収入になるとも思えず、多くの農家は実は会社などで働いて収入を得ている筈です。
それでも何とか今までの暮らしを維持しようとし、様々な工夫や努力の跡がみられるのが、限界集落の面白さです。
屋根の下に色々な農機具がある
少し離れたこの家が最後の民家でした
家の前は自然のままの川
林道を進むとこんな感じ
もう何もないなと思ったら開けた場所に出た
動物が食べないように畑を柵で囲っている
帰りはまたさっきの集落を通る
小さな畑は自分や近所で食べる分だけを育てている