川上村神之谷の林道から清谷神社へ
ある時は迷惑施設、ある時は救世主のダム
奈良県川上村の吉野川に大滝ダムがあり数キロ上流には大迫ダムがあります。
吉野川は1959年(昭和34年)9月の伊勢湾台風でダムが放水したため、五條市など下流で大被害を出した。
五條市だけで浸水約1000軒、損壊約1000軒、吉野川の決壊で最大水位は10mにも達した。
こうして吉野川上流のダム建設は国家事業になったが、村が無くなる川上村住人と50年以上もダム抗争が繰り広げられることになった。
大滝ダムが竣工したのは伊勢湾台風から52年も経った2012年で、できたてホヤホヤといった感じです。
上流の大迫ダムは集落が少なかったので1973年に竣工し、伊勢湾台風に匹敵する豪雨は今のところ発生していません。
人間災害があるとダムが必要だと大騒ぎするが、記憶が薄れると「ダムは無駄だ」と言い始めます。
こうした必要・不要論争に翻弄されある時は無駄な公共事業の象徴になり、ある時は災害の救世主や自然エネルギーと称賛される。
その大滝ダムと大迫ダムの前後には吉野川の支流沿いに今も集落が残っていて、両ダムの中間にも集落がある。
ちょろちょろっと流れる吉野川だが、豪雨になると下流の市街地が水深10mにもなる
集落の中です
こういう集落の小道はのんびりしている
神之谷という地名が気になったので奥に入ってみます
納屋や民家が数軒ありすぐ行き止まりでした
神之谷の林道に入ります
見づらいですが小川に橋が架かっていて、手前に門が閉められています
前にも動物除けの門を自分で開ける神社があったので、ピンと来て開けてみました(鍵はかかっていないが動物は開けられない仕組み)
森の中の神秘的な清谷神社
多くの人には何の価値もない寂れた場所だが、集落マニア(?)にとっては見どころが多い地域となっている。
大滝ダムより上、大迫ダムより下は10キロほどの距離ですが、井戸・下多古・武木・井光・上多古・北和田・神之谷・大迫といった集落がある。
このうちいくつかには小学校があるほど栄えていたが、今はすべて廃校になり国道沿い以外は高齢者だけになっている。
大迫ダム側だけでもとても一回では回れないので、この日の目標になんとなく決めておいた林道に入り清谷神社を目指して走り出した。
こうした舗装林道は最後に集落があったりするとそこが目的地になるが、大抵は何もないので途中の神社などが目標になる。
林道では釣り人と不審者と作業者しか見かけず、清谷神社に渡る橋には扉が閉ざされていました。
この扉は人間ではなく鹿とイノシシ、熊よけらしく、簡単に開け閉めできる構造なので中に入ってみました。
一面苔だらけの美しい緑色の絨毯で、踏んで歩くのがもったいないほどでした。
石段を上がると拝殿などの建物があり、綺麗に清掃されていました。
杉林の中は放置すると落ちてきた枝や葉っぱだらけになっているが、頻繁に誰かが手入れしているようでした。
橋を渡ると未開の地に踏み込んだ気がします
まさしく森の中に隠された秘密の神社
天井が木陰なので写真は暗いです
実物は写真の何十倍かは美しかったですね
苔の絨毯に覆われた石段がふわふわして気持ちいい
誰かが手入れしているようでゴミ、枝、葉っぱ、クモの巣の類はありませんでした
奈良県の神社の中でもベストオブ秘境神社と言えるでしょう
林道の奥まで入ろうと思ったが、作業中なうえに道の真ん中で食事中だったので引き返す
来た林道を引き返す