高野町富貴集落から丹生川渓谷沿いに走る
標高600mの集落
奈良県五條市から県道732号を通って和歌山県高野町の富貴という集落に出る道は、舗装されているのが不思議なほどの山道です。
明治以前は高野山に向かうルートの一つだったらしく、富貴も宿場町として栄えた。
だが高野山まで鉄道が通ると、この道を歩いて山越えする人は居なくなり、村は困窮したという。
富貴は標高は500m以上あり、ここまで来てもさらに山をいくつか超えないと高野山にはたどり着けない。
江戸後期まで東富貴村と西富貴村に分かれていたが、東西を合わせても人口約600人、110世帯ほどだった。
農地が点在しているが高地で寒冷なうえ北向きなので作物が育たず、現在もこれといった産業がない。
「富貴」(ふき)という地名はこの地域があまりに貧しかったので、豊かになるようにとの願掛けで付けられたという。
富貴には成金という地名もあり、成金バス停で写真を撮ると成金になれると書かれていた。
このように自他ともに認める昔からの貧困地域で、現在も過疎地域です。
五條市のファミマから金剛山方面を見た景色
五條市は平地なので水田や農地が広がっている
県道732号を10分ほど走るとこんな山中になります
斜面の上にまで家が点在している
これは一軒普通の住宅ですが
崖の下の斜面に建っています
反対側の山の斜面にも民家がある
そこに行くには一度谷底の渓谷に降りなくてはならない
地域バスのバス停も崖の下から建っている
富貴は明るい限界集落
富貴は高野山の寺領だったが現在は奈良県とのつながりが深く、面白いのはバス停の終点がジャスコ(イオン)になっていた。
一日に数本ジャスコ行きのコミュニティバスが通るので、車がない人はこれで買い物に行っているようです。
かろうじて五條市の通勤圏内(降雪がなければ20分ほど)なので、むしろ奈良県南部の山間地よりは栄えている印象です。
廃屋はそれほど見かけないし、集落全体が崩れかけているとか、道の半分が崩れたまま放置されているなどは見かけない。
神社の清掃は行き届いているし、軽トラ以外の乗用車も良く見かける。
本当の限界集落ではあっても20年物の軽トラだけで、ほとんどの家は空き家か崩壊しかけている。
村人にとって重要だった筈の神社や寺も荒れ放題で、参道は掃除しないので枝や落ち葉が積もっている。
こうした限界というか廃村寸前集落を見てきたので、「明るい過疎集落」といった印象を受けます。
最近は若い人が富貴にゲストハウスを作ったりして、里山的に盛り上げようとする試みもあるようです。
山奥に富貴の集落があり、意外に開けている(去年撮影)
役場ですが乗用車や人が歩いているのが見えます
東富貴の棚田、去年夏ですが現代ではないような風景でした
アルプスの少女とか一休さんが歩いてそうな空間
富貴のもっとも大きな丹生神社ですがチリひとつ落ちていません。
本当の限界集落は残念な状態になっている事が多い
成金という地名も貧しさから抜け出せるようにかも知れません
県道733号を丹生川沿いに高野山に向かう
丹生川沿いの道にはガードレールもない
廃屋っぽいけど軽トラがあるので使われている
つづく